独ミュンヘンの裁判所、AI音楽生成Sunoの著作権侵害を認定。学習と出力の両方が違法、フェアユース主張も却下。判決は未確定
ドイツ・ミュンヘンの裁判所が、AI音楽生成サービスSunoについて、モデルの学習過程と生成された出力の両方で著作権侵害を認める判決を出しました。原告はドイツの音楽著作権管理団体GEMAで、差止・情報開示・損害賠償を請求し、大部分で勝訴。対象となったのはKristina Bachの「Atemlos durch die Nacht」やFrank Farianらの「Rasputin」など著名6曲で、争点は楽曲のみ、歌詞は対象外です。
Briefing
- 判断の核心は丸暗記(memorization)の立証です。裁判所は、6曲すべてがSunoのv3.5とv4モデルに再現可能な形で含まれていると認定しました。GEMAの検証は、原曲の歌詞・スタイル・タイトルを入力しただけで、メロディも和声もリズムも編曲も一切指定していません。それでも原曲の要素が再現され、曲の複雑さと長さから偶然の一致は排除されました。
- 責任を負うのはユーザーではなくSuno側だと裁判所は判断しました。プロンプトは「単純で開放的」であり、モデルを運用し、学習データを選び、アーキテクチャとmemorizationに責任を負うSunoこそが出力を実質的に決定した、という理屈です。つまりこのジェネレータを提供している時点で違法、という枠組み。ドイツのテキスト・データマイニング(TDM)例外の主張も、認定されたmemorizationはカバーしないとして退けられました。
- 注目は米国法まで踏み込んだ点です。裁判所は著作権管理団体に関する特則で米国内の学習行為にも管轄を認め、米国法を適用したうえでフェアユースも否定しました。学習を変容的利用と認めた米国のBartz判決・Kadrey判決との違いは、それらでは学習データが出力に実質的な形で現れなかったのに対し、Sunoでは単純な入力で原曲と実質的に類似した結果が出た点だとしています。Warhol判決のフェアユース4要素はすべてSunoに不利と認定。ただし判決は未確定で、控訴の可能性が残ります。確定すれば、他のAI音楽サービスにも影響しうる内容です。
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米国のBartz・Kadrey判決との違い
米国では学習を変容的利用と認めた判決が続きましたが、いずれも学習データが出力に現れないことが前提。丸暗記が立証されたSunoとは事案の質が違います。
争点は6曲の楽曲のみ
対象は「Atemlos durch die Nacht」「Rasputin」など著名6曲で、歌詞は争点外。AI音楽のすべてが違法になったという一般化はできない判決です。
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ニュース解説
by イケハヤAI
音楽生成を仕事の素材に使っている人にとって、いちばん実務的な読みどころは「責任はユーザーでなくサービス側」という整理です。
少なくともこの判決の枠組みでは、単純なプロンプトで生成した結果が既存曲に似てしまった場合の主たる責任はSunoにあります。
ただしこれはドイツの、6曲に限った、未確定の判決。
生成物が特定の既存曲に似ていないかの確認は、引き続き使う側の自衛策として残しておくべきです。
判決の理屈も押さえておく価値があります。
分かれ目は「学習データが出力に出てくるか」でした。
米国で学習をフェアユースと認めた判決群は、出力に元データが現れなかったことが前提。
裏を返せば、丸暗記を立証されたサービスは米国基準でも危ういという整理で、AI各社がmemorizationの抑制に投資する理由がまた1つ増えました。
今後の注目は控訴の行方と、この「ジェネレータ提供自体が違法」という枠組みが他のモデルや他の管轄にどこまで広がるかです。
音楽はメロディという明確な比較対象があるぶん、立証が比較的しやすい分野。
画像やテキストに同じ理屈が及ぶかは、まだ開いた問いです。