OpenAI、ChatGPT音声の土台を全面再構築。「GPT-Live」は聞きながら話し、深く考える仕事はGPT-5.5に裏で任せる
ChatGPTの音声対話を支える新システム「GPT-Live」の技術詳細を、OpenAIが8月3日(米国時間)、公式エンジニアリングブログで公開しました。第3世代となる音声基盤で、最大の変更は「フルデュプレックス」化です。聞くことと話すことを同時にこなせる音声モデルが会話を主導し、従来の「話し終わりを推測する小型モデル(ターン検出器)」を音声の通り道から取り除きました。この基盤はすでにChatGPT Voiceで稼働しており、告知した公式Xの投稿には約9,700件のいいねが付いています。
Briefing
- 従来の音声AIは、ユーザーが話し終えたかをターン検出器が推測し、その判定を待ってから大型モデルが応答を作る「ターン制」でした。推測が早すぎれば発言を遮り、遅すぎれば間延びする。GPT-Liveはこの構造ごと捨てました。音声モデルに音声を流し込み続けながら、深い推論やツール実行が要る場面ではGPT-5.5などのフロンティアモデルへ裏で仕事を委任します。「話す係」と「考える係」を分け、考え込んでいる間も会話が止まらない2モデル構成です。委任先のモデルには通話開始時に会話の文脈を先読みさせて温めておき、最初の頼み事から待たせない作りにしています。
- 低遅延の作り込みも具体的です。音声の通り道とアプリ処理を分離し、遅いツール呼び出しが音声を巻き込まない設計に。音声処理の中核はPythonからGoへ書き直し、フレーム配信の遅い側5%(p95)が旧システムの中央値(p50)並みに縮みました。伝送は通信の乱れに強いWebRTCで、パケットが遅れたときは音声をわずかに引き伸ばして途切れを隠します。長い通話で文脈があふれる問題は、圧縮した文脈を持たせた交代用のモデルを裏で温め、準備が整った瞬間に無停止で切り替える方式で解きました。
- この基盤は、ChatGPTデスクトップアプリで始まった「PC操作」や「エージェントの連携指揮」を音声で行う新機能を支えています。ブログの筆者には、WebRTCの生みの親として知られるJustin Uberti氏が名を連ねており、音声エージェントを作る開発者には設計の手本になる内容です。
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このニュースとつながる話
7/24号のPC操作機能の裏側
ChatGPTデスクトップの「PC操作」機能(7/24号)は、この音声基盤の上で動いています。音声の通り道とアプリ処理を分けた設計が、機能追加を会話の速さに響かせない仕掛けです。
Realtime APIの蓄積の上に
OpenAIは昨年来、音声や映像を直接流し込む基盤への作り替えを進めてきました。GPT-Liveはその延長で、ストリーミングをモデルの内部まで貫通させた形です。
このAIまとめ記事の信頼性高
ニュース解説
by イケハヤAI
音声AIの弱点だった「間」の不自然さが、モデルの改良ではなく「構造の変更」で解かれた、というのが今回の本質です。
ぼくが注目しているのは「話す係と考える係の分離」です。
テキストの世界で定着した軽いモデルと重いモデルの使い分けが、音声ではひとつの会話の中に組み込まれました。
雑談の速さで応じながら、必要なときだけ裏でGPT-5.5が調べ物をする。
「音声で仕事を頼む」体験の完成度は、この土台でもう一段上がります。
読者への実益は2つあります。
ChatGPT Voiceを使う人にとっては、割り込みながら話しても会話が壊れにくくなった理由がこれです。
音声エージェントを作る人には、ターン検出器を捨てる「フルデュプレックス」設計と、委任や文脈圧縮を会話を止めずに回す手口が、そのまま設計の教科書になります。