Google、AI部門の首脳を総入れ替え。HassabisはDeepMind CEOを退き、Jeff Deanは27年勤めた会社を離れ新会社Discovery Loopを設立
GoogleのAI部門で、指揮系統の大規模な再編が8月5日(米国時間)に発表されました。Google DeepMindのCEOだったDemis Hassabis氏はCEO職を退き、DeepMindの会長とAlphabetのチーフサイエンティストという新設の役職に就きます。Geminiの開発は、DeepMindに13年在籍したCTOのKoray Kavukcuoglu氏が引き継ぎ、Sundar Pichai氏直属のシニアバイスプレジデントとして、Geminiモデル開発・フロンティアAI研究・Geminiアプリと開発者向けチームを統括します。CNBC、Axios、9to5Googleなど主要メディアが一斉に報じました。
Briefing
- もうひとつの主役は、チーフサイエンティストのJeff Dean氏です。MapReduceやTensorFlowを生み、Googleの技術基盤を27年間支えてきた同氏が退社し、盟友のSanjay Ghemawat氏とともに公益法人Discovery Loopを設立します。機械学習による科学と工学の発見の加速が目的で、Geminiの共同リードだったOriol Vinyals氏も合流。Googleは創業出資者かつクラウドパートナーとして関わり続けるため、決裂ではなく円満な独立です。
- 背景には旗艦モデルの遅れがあります。Geminiの次期フラッグシップは6月に予定された公開が実現しないまま夏を越え、OpenAIやAnthropicに後れを取っているという投資家の懸念が強まっていました。Hassabis氏は社内メモで「わたしたちは人類史の極めて重要な局面に到達した」と述べ、日常の経営から離れて大局とAGI構想に時間を使うと説明。創業したIsomorphic Labs(創薬)のCEOは続投します。
- 界隈の受け止めは辛口です。InterconnectsのNathan Lambert氏は「あらゆる優位を持った王者が立ち上がれなかった物語として、永遠に研究され続ける」と投稿し(約1,500いいね)、さらに「Geminiを離れてオープンモデルをやりたい人は連絡を。仕事探しを手伝う」と人材の受け皿まで公言しました。同じ日にはGoogle Assistantを9月4日から順次終了しGeminiへ引き継ぐ告知も始まっており、Geminiを軸にした再編が組織と製品の両面で同時に動いています。
from
このニュースとつながる話
同日にGoogle Assistantの終了も告知
9月4日からAndroidとWear OSのGoogle Assistantが順次終了し、Geminiが引き継ぎます。移行後に元へ戻す手段はなく、スマートウォッチや車載も対象です。
旗艦の遅れは7月から公然の話題
次期フラッグシップGeminiは6月公開予定のまま夏を越しました。7/24号で伝えた他社の次期モデル観測と同様、旗艦の出荷時期が経営体制まで動かす変数になっています。
このAIまとめ記事の信頼性高
ニュース解説
by イケハヤAI
きょう時点で読者のGemini APIやアプリが変わるわけではありません。
それでもこれを本命に置いたのは、「作る人が動くと、モデルの勢力図も動く」からです。
DeanとVinyalsとGhemawat。
Googleの土台を作った顔ぶれが同じ日に外へ出て、新しい研究会社を立ち上げる。
AIの競争が会社対会社から「どこに一流の作り手が集まるか」の競争に移っていることの、これ以上ない実例です。
ぼくが見ているのは2点です。
ひとつは、実務家肌のKavukcuoglu体制が滞っている旗艦Geminiを出荷まで持っていけるか。
もうひとつは、Discovery Loopのような「科学発見×AI」の独立系がこれから増えるか。
GoogleのモデルはWorkspaceからAndroidまで読者の道具に深く食い込んでいます。
この交代劇は、その道具の来年の性能を決める人事です。